歌手・北原ミレイさん語る ヒット曲「石狩挽歌」誕生秘話
もっとも、最初はレコーディングを渋ったそうだ。
「“こんな暗い曲はイヤ!”ってディレクターに突っ返したんです。だって、海猫をゴメといったり、漁師さんの半纏が筒袖だったり、もうひとつピンと来なかったんですもの。ところが、ディレクターから“アレンジしてから音を入れる。それを聞いてから決めてくれ”と説得されましてね。実際、出来上がった音源を聞いたら、素晴らしいじゃありませんか。即決でした」
その後、レコーディングでもすったもんだがあったとか。
「礼先生、浜先生、ディレクター、音楽出版の担当者、それぞれの意見、思いが異なり、なかなかみんなが納得しない。ワタシ自身いろいろ歌い方を変えても、どうもしっくりこないんです。と、礼先生が突然、“雲の上に昇ってこい!”とおっしゃり、ああ、これはあれこれ考えず、空から下を眺めるつもりで腹をくくれって意味だと思い直して歌ったら、一発でオーケーでした」
■歌い続けることがアンチエイジング
昭和を代表するヒット曲「石狩挽歌」の誕生秘話だ。去年11月にリリースされた、なかにし礼さんの作詞家・作家50周年を記念した4枚組アルバム「なかにし礼と75人の名歌手たち」にももちろん、「石狩挽歌」は収録されている。