【対談】室井佑月×井筒和幸 「世に怒りの種は尽きまじ」
「首相を辞めたら映画監督になりたいって」(井筒監督)
井筒 4年前にワルシャワで開催された「ポーランド日本映画祭」で安倍のオバハン(昭恵夫人)に一度会ったのよ。安倍晋三はポーランドに原発を売りに行って、先にロンドンサミットに向かったんだけど、嫁はんは残って映画祭の式典に来たんだわ。
室井 監督も出資を頼めばよかったのよ(笑い)。森友学園の籠池さんだって出してもらえるんだから、すぐ出してくれたんじゃない?
井筒 なんでそんなモン俺が言わなアカンのか。
室井 もらっておけばよかったジャン(笑い)。
井筒 その時「主人も昨日までいたのに残念」なんて挨拶の後、「実は首相を辞めたら映画監督になりたいと申しております」って俺を背中にして言うんだよ、会場にいる400人の前で。あの時は俺らも失笑。「いつからそんなこと思うてたんや?」って。
その後のパーティーで、70歳近いポーランドの大使がガキの使いみたいに「昭恵夫人が改めてご挨拶したいと」と言ってきやがったから、「あるならこっち来ればええやないか。映画監督になりたいダンナさまがいるならどうぞ、サジェスチョンしますよ」って言った。そしたら(昭恵夫人が)ホンマに来よった。
室井 そこで「貴女さまのような方に見ていただきたいのでぜひ出資を」って言えば数億円出資してくれたと思うなぁ。監督、意外と人懐っこいとこあるし(笑い)。
井筒 「アンタ、私の在日朝鮮人の映画見ましたか?」って聞いたら、「すいません、噂は聞いておりますが……」「お父さんに見といてくださいって言っておいてください」って言うたらヘラッとして帰っていきよった。ギャグか本気かわからへん。あのオバハンが首相夫人なのもギャグかと思うわ。
井筒 テレビもなかなか言わないけど北朝鮮も煽り過ぎやね。
室井 ほんと。GW前なんか今にも戦争起きるみたいな感じだったよね。
井筒 するわけないやん。カリアゲ君(金正恩)も金髪(トランプ)も裏交渉をするためにガタガタ言ってるだけで。
室井 世論も怖いよね。そろそろ北朝鮮に強気で出るべきだっていう流れもあったじゃない? もし仮にミサイルが飛んで来たら子供だって死ぬかもしれないんだから嫌だと思うのが当たり前だと思ったけど、そうじゃなくなってきた。
井筒 辺(真一=コリア・レポート編集長)さんも安倍さんは情けないと言うてたけど、国会議員が50人ぐらいで北朝鮮へ渡ったらと俺も思う。「そんな熱くならんといて、アメリカとは話しつけときますから」て、仲裁しようという政治家がおらん。
室井 アメリカが熱くなって、巻き込まれて被害を被るのは、日本をはじめ隣国の韓国、中国なんだからさ。あのGWのタイミングで北朝鮮と話し合っておけばカードになったかもしれないのにね。
井筒 カリアゲもびっくりするかも知らんけど、“男前”な連中が来やがったって落ち着くだろう。拉致も、戦争補償の話も残っているんだから何だろうと交渉しに行って、安倍以外の政治家たちが行動を起こすべきなのに、いないから、情けない。平壌宣言を忘れたのかって。
室井 安倍さんは話が通じないっていうかさぁ。うまいのはマスコミの懐柔だけなんだもん。ウソついても恥ずかしいって感覚がないから恐ろしいんだよ。
井筒 この国の展望なんてない、もう関わりたくないっていう気分やね。
室井 わかる、すごいわかる。
井筒 タックスヘイブンじゃないけどさ、「関わらないヘイブン」に行きたいよ。
室井 うんうん。私もドラえもんの「石ころ帽」が欲しい。誰にも干渉されないでいたい。
井筒 (新聞の安倍首相に)この顔はマジに気持ち悪い。蓮舫ちゃんが「同じ空気吸うのも嫌だ」って言うたらしいな。
室井 わかるよ。私も、安倍さんの宣伝みたいなニュースとかそのまま見たくないから録画して、早送りしながら見てる。
井筒 昔は散髪屋で新聞見るの楽しかったじゃないの。今じゃおぞましい紙面ばっかり。
室井 「こんなバカな発言しおった」ってゲラゲラ笑えたけど、みんなバカじゃ笑えないよね。
(おわり)