ゴールデン街は世界遺産 ドリアン助川さんが見た人生模様
ところが、ドアを開けるとだれもいない。友だちと2人でとりあえず中に入って、並んでいるボトルや店内をジロジロ見ながら、「ここで飲むなら、大人に負けないように理論武装しなきゃダメだよな」なんて言い合いました。で、店主が帰ってきて、「なんだ! おまえら!」と怒鳴られて。でも、その当時はそこしか知らないから、その後もずっと通いました。
しばらくして「NANA」という店に入り浸りました。日本に初めてできたフラメンコ酒場です。今では老舗で、ダンサーが来日すると必ず寄る店になっています。亡くなった当時のママが可愛がってくれてアルバイトもした。それからが本格的なゴールデン街、酒人生の始まりかな。
当時、長崎出身のばあちゃんがやっていた「ばってん」という店がありました。ばあちゃん、なぜかカウンターで女体盛りのように寝ているの。おかしいでしょ? そしたらばあちゃん、「触っていいよ」って(笑い)。「いや、いいっすよ」ってマジメに答えたら、「そんなこと言わずに、女体だぞ! 触れ!」って僕の手を取って胸を触らせようとして(笑い)。