新海誠監督がハードル上げた アニメ描写が緻密になるワケ
「新海監督も当時はまだ無名で、そのうえ低予算なのに、異様なほど描写のクオリティーが高いんです。それより高い予算を使って質的に下回るアニメを作るわけにはいかない。業界のハードルが上がってしまったわけです。CGなど技術的な進歩もありますが、それ以前から、ジブリに追いつけ追い越せで、レベルは上がってきていた。日本も米ピクサーのアニメのように、キャラクター以外はほぼ実写に近い描写という方向に進んでいるような気がします」
とはいえ、アニメだってキャラクター描写や、ストーリーに重きを置いてほしいものだ。
「実写映画は映像が美しくても脚本が悪いとたたかれますが、アニメの場合は絵が美しいだけで、少々内容が薄くてもそれなりに評価される。観客も『絵はきれいだ』と料金分は満足しがちです。製作サイドにとって緻密な描写はリスクヘッジになるわけで、こうした傾向はしばらく続くと思います。アニメーターは疲弊するでしょうが」(前田有一氏)
作る側も見る側もグッタリ、か。