この噺家で聴き初め 評論家が厳選「落語界二つ目」成長株

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どこにもない新作落語

 これまで取り上げてきた3人は、落語協会所属(会長柳亭市馬)だが、落語芸術協会(会長桂歌丸)にも逸材は揃っている。中でも飛び道具的な異才と位置付けられるのが瀧川鯉八(36)だ。

 入門12年目で、古典落語の持ちネタは10席もない。「僕よりうまい前座がいるくらいだから、古典落語の名手になれるとは思えなかった」ということから、新作落語の道に進んだ。それも、オウム返しなどといった古典落語の手法をまったく取り入れない、どこにもない新作落語。ファンにはよく知られる「僕ほめ」や「やぶのなか」など50席以上の“刺激作”が誕生した。

「既存の落語を超えたい」というのが本人のもくろみ。思惑通り、規格外の道をひた走っている。

 師匠の瀧川鯉昇(64)の緩い教え、縛らない教え、どこかの親方とは正反対の教えが、伸び伸びとした落語家を、この世に誕生させた。

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