映画「女は二度決断する」監督語る 民族問題と沈黙の差別
「実際にあの事件で捜査にあたった刑事にそういうことを質問したところ、『全ての方向で捜査はできない』と言いました。どの方向で捜査するかは経験値などによると。この時点でバイアスがかかっているのですから、どうしようもないのです」
――監督も差別を経験したことがある。
「暴力もね。10代の頃、地下鉄で襲われました。フーリガンでしたけど、レイシスト(差別主義者)でもあった。偏見や差別には対話で立ち向かえばいい。ちゃんと話し合えば、それらを取り除くことができます。ところが昨今はネットの向こうに相手がいたりして、そうもできなくなっています」
――アメリカファーストを掲げるトランプ大統領を筆頭に世界は右傾化し、また難民などによる民族間のあつれきが顕著になっている。
「トランプ大統領ら国のトップが一般層に直接語りかけるようになっていますね。そこでナショナリズムをあおり、レイシストをも利用して政治を行っている。欧州でもそうだし、日本もそうですよね。これがグローバリゼーションなのでしょう。この流れを止める手だてはないのかも知れません」