小島一慶さん<1>「いいアナウンサーを目指しなさい」と…
大学4年で日本テレビやニッポン放送など、5、6社の面接を受けたが全敗。卒論だけを残して大学に籍を残したままTBSでアルバイトし、翌年、晴れて合格した。
「同期は松永邦久さんや見城美枝子さんら7人。1期上が久米宏さんですが、僕が就職浪人していますから、久米さんとは同級生です。新人の時のアナウンス室長は小坂秀二さん(03年没、享年85)。若い頃は軍医として中国戦線で戦われた方です。その小坂さんに『日本にいいアナウンサーはいるか?』と尋ねられ、僕はNHKの宮田輝さんや高橋圭三さんの名前を出しました。すると、小坂さんは首を振り、『いや、彼らはうまいアナウンサーではあるが、いいアナウンサーではない。君はいいアナウンサーを目指しなさい』とアドバイスされたのです」
この瞬間、小島さんの目指すべき方向は決まった。 =つづく
(取材・文 加藤広栄)
▽こじま・いっけい 1944年、長崎市生まれ。日本大学芸術学部放送学科卒。68年にTBS入社。深夜ラジオ「パックインミュージック」で人気DJとなる。現在はフリーアナウンサーとして活躍するほか、「東京カルチャーセンター葛西」で俳句講師も務める。