古舘伊知郎の真骨頂はギリギリのラインを狙うフレーズの力
「ウケ狙いしたくてしょうがない。印象づけたいんですね」(古舘伊知郎/フジテレビ「名曲お宝音楽祭」9月26日放送)
古舘伊知郎(63)が、「夜のヒットスタジオDELUXE」(フジテレビ)での自らの司会っぷりを振り返りながら言った言葉を今週は取り上げたい。
「ウケ狙い」における古舘の最大の武器は何といっても「フレーズ」の力。古舘はゲストのミュージシャンたちに、プロレス実況時代に培ったキャッチフレーズをつけていった。
たとえば、由紀さおりは「歌う年齢当てコンテスト」、尾崎紀世彦は「鼓膜破りの荒法師」、和田アキ子は「日本の動く自由の女神」。相手が怒るか怒らないかのギリギリのラインを狙い、場をピリッとさせることが古舘の真骨頂だ。
そんな「夜ヒット」の中でも屈指のピリッとしたシーンといえるのが、甲本ヒロト率いるザ・ブルーハーツがゲストに訪れたときだろう。それは1987年の年末スペシャル。この年にメジャーデビューした彼らは一部の若者のカリスマだったが、世間的には無名。もちろんゴールデンタイムの番組には初出演だ。