“怖いもの見たさ”を刺激「ヴェノム」大ヒットのウラの戦略
「スパイダーマン」シリーズの悪役を主人公にしたスピンオフ映画「ヴェノム」が大ヒットを記録している。初日から3日間で約40万人を動員し、興収6億円を記録。本家「スパイダーマン:ホームカミング」(17年)とほぼ同等の出だしで、最終的に20億円超えは確実といわれる。ヒットの要因と作品の魅力について、映画批評家の前田有一氏がこういう。
「洋画低調な時代に大健闘の成績です。ホラーではなくヒーロー映画なのに悪役、それも人間の脳みそを丸かじりする残虐な化け物が主人公という意外性。『カメ止め』のヒットもそうですが、こうした点が“怖いもの見たさ”を刺激し、アメコミファン以外にも広がったのでは。話も面白いし、カーチェイスなど見せ場の出来もいい。今後の伸びも期待できそうです」
ジャーナリストのエディ・ブロック(トム・ハーディ)は、ライフ財団の人体実験疑惑を追及していたが、財団が研究していた地球外生命体のシンビオートに寄生され、やがて怪物ヴェノムと化してしまう。映画は“運命共同体”となったエディとヴェノムが、共通の敵を見つけ出し共に戦うまでを、ユーモアを交えつつホラー風味のド迫力アクションとして描く。