片山さつき大臣に映画「ブルージャスミン」を処方する理由
映画パーソナリティー&映画心理カウンセラーのコトブキツカサが“今、旬な”人々に映画を処方して、より良い日々を送っていただこうという勝手なコラム。
私が初めて片山さつきという存在を強く意識したのは、13年前の衆議院議員総選挙の時。初登院で意気揚々とインタビューを受けている最中、ひとりの記者の携帯電話が鳴り、一瞬イラッと表情を変え、その記者に苦言を呈したのです。多くのカメラが回っていることを承知の上で苛立ちを隠さないというその態度にプライドの高さを垣間見ました。最難関の東大法学部卒、在学中は読者モデルとして活躍。女子大生ブームを謳歌し、大蔵省に入省という華麗なるキャリアを歩んできた彼女ですが、政治討論番組やバラエティー番組などでの発言や態度はやや高慢に見えたのも事実です。
そんな片山さつきさんに今回処方する映画は、ウディ・アレン監督、ケイト・ブランシェット主演の「ブルージャスミン」です。
主人公のジャスミンはNYでの超セレブリティー生活から、実業家の夫が詐欺で捕まり破産。周囲の協力を得ながら人生の立て直しを図りますが、他人の心が全く読めず空回り……という物語。現在政治家として窮地に陥っている片山さんと本作は「栄華からの転落」という側面の共通性が見いだせます。劇中でジャスミンが悪気なく問いかけた言葉に周囲が傷つき怒る場面がありますが、相手の立場や気持ちをおもんぱかれないのは成功者ゆえ。彼女は最終的に社会的地位を掴むために自分の欲望に貪欲に、そしてずぶとく生きていきます。そんなジャスミンの姿に片山さつきさんは何を思うのでしょうか?
誰の人生にも不意に大きな壁が立ちはだかりますが、過ちを認めることから始めなければいけないのかもしれません。
片山さつきさんには、「正直者にやる気をなくさせる」ことなく「真実の議論」を深めてほしいと思います。