18年“見るべきドラマ大賞”は石原さとみ「アンナチュラル」
何にでも「平成最後」の冠が付くのが今年の歳末風景だが、このコラムも平成時代最後の拡大版である。今、2018年のドラマを振り返ってみると、各クールに見るべきドラマが存在したことに気づく。
1月クールには広瀬すず主演「anone」(日本テレビ系)があった。脚本家の坂元裕二が親子や家族の本質を問いかける異色作だったが、石原さとみ主演「アンナチュラル」(TBS系)のインパクトに食われた感がある。こちらの脚本は「逃げ恥」などの野木亜紀子だ。まず、「不自然な死」というテーマと「不自然死究明研究所(UDIラボ)」という設定自体が斬新だった。沢口靖子の「科捜研の女」(テレビ朝日系)は警察組織の一部だが、こちらは民間組織で捜査権も逮捕権もない。ミコト(石原)たち法医解剖医は検査や調査を徹底的に行い、真相に近づいていく。
物語の内容には高度な医学的専門知識が織り込まれていたが、説明不足だったり、逆に説明過多でうるさいこともない。脚本の野木と演出の塚原あゆ子の呼吸がピタリと合い、予測のつかない新感覚サスペンスを生み出していた。