「走れコウタロー」は発売直前にメンバーが急死して…
レコーディングは一発録音で無事終了。ところが発売直前、メンバーの池田謙吉が突然死してしまいました。東大の法学部に在学中で、将来は国会議員になるのが夢。普段は医者にも行かない元気なヤツだったのに、朝起きたら死んでいたといいます。急性心機能不全。原因は不明です。
まさに最大の危機。でも「弔い合戦だ!」って、すでに足を洗っていた佐藤敏夫(砂糖と塩。バンド名の由来となった創設メンバー)を呼び戻し、売れても売れなくても1年でやめようと決めてバンド活動を継続しました。
結果的に100万枚近い大ヒット。年末のレコード大賞では新人賞も受賞しました(最優秀新人賞は、にしきのあきら)。
ですが翌年の5月に日比谷野音で解散コンサートを開き、公約通り解散。それから僕は大学に戻り、卒論を書き上げて翌春に卒業。ビクターに入社し、歌い手から作り手への道を歩み始めました。
ちなみに「走れコウタロー」はメンバー全員で作ったのですが、作詞・作曲は池田名義にしました。ひとり残された母親に印税がいくようにしたかったからです。
(聞き手=いからしひろき)