月亭方正さんの落語家転身は先輩・東野幸治のアドバイスで
でも、実力がない。それが痛いほどわかってたから「あくまでお金、生活のためや」と忸怩たる思いに蓋をしてたんです。気がついたら、それが20年。間もなく40歳になるって時に「これでエエんか」ってことが続けて3回ほどあった。
営業のステージですわ。先にブラックマヨネーズが漫才やりまして、ドカーン、ドカーンと場内大爆笑。で、僕が出ていくと「キャー」と歓声は上がるけど、それからが続かへん。テレビネタをチョロッとやるぐらいしか芸がないんやから。次はチュートリアル。そしたらまたドカーン、ドカーン。
さすがに落ち込んで先輩の東野幸治さんに相談したら、「そんなに悩んでるんなら、落語聴いてみたら」と。ほんでも全く興味ないから、気乗りはせんかった。半ば義務みたいな感じです。枝雀師匠のCDを聴いたのは。
もうひとつ。立川志の輔師匠に稽古をつけてもらったのも忘れてはなりません。志の輔師匠は落語を勉強するうちに、すごい憧れてたんです。間やとか語り口もさることながら、独自の解釈で、より人情味のある人物に描き出す。話の膨らませ方がとんでもなくお上手で、そこには志の輔師匠らしい、人への優しさがあるんです。