樹木希林「命みじかし、恋せよ乙女」世界デビュー作公開
芙蓉の花が咲き乱れる庭をのぞむ広縁に座り、人生を踏み外した男に語りかける姿といい、希林さんの演技はどこか幻想的。
親日家で希林さんファンだったドイツ人のドーリス・デリエ監督は「現実と夢と想像を同等に並べてみることを日本で学びました」とコメントしている。
04年に乳がんが見つかり、13年に全身がんを公表、その末期であった希林さんサイドからは「長い距離を歩いたり、物を運んだりする動きは痛みを感じるので難しい」と言われていたそうだ。ところが撮影では40度を超える厨房でのシーンなども顔色ひとつ変えずに希林さんは演じきった。「細かな演出などしなくても、役柄を理解し想像を超える演技を見せてくださった。言葉を介さずとも意思疎通できたのです」と監督は語っている。
♪命みじかし、恋せよ乙女~
黒沢明監督「生きる」にも登場する大正歌謡「ゴンドラの唄」を希林さんが口ずさむラストシーンは余韻が耳元を去らない。
16日(金)からTOHOシネマズ シャンテほか全国で順次公開。