<5>五社監督が「こいつはふっと怖い顔になることがある」
才賀は古今亭朝次と名乗っていた二つ目時代からテレビドラマに出演している。師匠の志ん朝が「鬼平犯科帳’81」(萬屋錦之介版)に出演した「用心棒」の回では、商家をゆするごろつき役で出た。そして、1982年には映画でいい役が付いた。
「五社英雄監督の『鬼龍院花子の生涯』で、鬼龍院政五郎の仲代達矢さんの子分役でした。その役の俳優を探していた監督が、撮影所のテレビで笑点の大喜利を見たんですな。あたしを指さして、『こいつは、ふっと怖い顔になることがある。座布団を取られて、ふてくされる顔もいい』と気に入ってくれたとか」
政五郎の女房の姐さん役が岩下志麻。才賀は彼女の体に触れたという。
「姐さんのボディーガード役ですから、癪(胃けいれん)を起こした姐さんの体を指圧で抑える場面です。映画を見た仲間たちは、『あんましてた』と言いましたが、あれは癪を抑えたんで。ただ、志麻さんの体にまたがって腰のあたりを押したのは事実で、もうけ役でしたね」
大作映画に出たことでますます売れてきた朝次は1985年に真打ち昇進が決まる。