<7>刑務所でバカ受けする「シモネタ」所長や刑務官も笑う
才賀が初めて慰問に訪れた旭川刑務所は長期刑の囚人が収容されており、無期懲役の者もいる。
「そんな連中を笑わせるのに一番いいのはシモネタなんです。所長さんに『好きなようにやってください』と言われてますからシモネタもオーケー。それで落語の前に、『皆さんは免業日(所内の作業が休みの日)に何をしてますか。きっとご家族に手紙を書いたり、被害者の方に手紙を書いたり、センズリをかいたり……』なんて振るとバカ受けです」
所長や刑務官も一緒に笑ってるというのだから、刑務所も話がわかるようになったものだ。
少年院と刑務所の慰問を続けるうち、才賀の活動に賛同する同志が現れた。寄席の色物で津軽三味線の太田家元九郎と三遊亭円歌一門の歌武蔵である。才賀と2人の共通項は「海上自衛隊」。元九郎も海自出身で、歌武蔵は武蔵川部屋の力士を廃業した後、落語家になった変わり種である。
「ヤツは横須賀の海自教育隊に入ったほどの海自ファンです。あたしが口をきいてやって、4カ月の訓練を受けたんですが、普通ならあんなデブ、入隊できません。特別に入隊させてもらった。その縁で今も海自関係者から仕事を頼まれる。自衛隊の方々は義理堅いんです」