大学で学問より落語の稽古に熱中…師匠選びのポイントは?
「ラジオ番組の制作に携わりたかったんです。ラジオ局に入るか、放送作家になってね。ところが、落研に入っちゃった。当時落語は、学生にまるで人気がなくて、部員が少なかった。3年の時に部長になったんですが、同学年は僕1人、2年生が1人で1年生が2人、4人しかいなかったんですから。吹きだまりみたいなもんですよ」
学問より落語の稽古に熱中する生活だったというが、就職する気はなかったのか?
「当時の日芸の卒業生で、まともに就職するやつは少なかったし、最悪の就職氷河期といわれた年でした。それで落語家になろうと決心したわけです」
■師匠選びの重要ポイント
寄席通いするうち、目に留まったのは春風亭一朝だった。古典落語は本寸法、歌舞伎に造詣が深く、笛の名手で、歌舞伎座の囃子方として吹く技術を持つ。
「言葉遣い、声音、しぐさ、全てにおいて奇麗なんです。それに、優しそうだった。これは師匠選びの大事なポイントで、結果的に正解でしたね。見た目は優しげだけど、実は厳しいという師匠もいますが、うちの師匠は想像以上に優しかった。それもベタベタした優しさでなく、さっぱりしてる。芸風と同じです」(つづく)