<10>ツキは雑に扱うと逃げていく ドラ牌はどう扱うべきか
謎なのは語源である。ドラゴンを短くドラと呼んだ説が有力だが……。
さて、手役作りの名手だった雀聖・阿佐田哲也さんもドラは大切にした。
下の牌譜を見ていただきたい。ある誌上対局で阿佐田さんが打ったもの。さまざまな対局での牌譜を、少なからず残した阿佐田さんだが、七対子で数牌のドラを引いたハネ満は、これしかない。珍しい牌譜である。
だが、背景を読むとイチかバチかの幸運を狙ったものでないとわかる。そこには雀聖らしい読みがあった。
牌譜を見ると配牌2対子だが、6枚続けて有効牌を引き、8巡目で聴牌した。自摸に逆らわず、自然体で打っている印象。
このとき阿佐田さんは2位者を大きく引き離してトップだった。無理をする必要はまったくないが、大量点を狙えるなら、トップを確定させるためにもそうしたいという、余裕のある立場だった。
そこですぐにリーチをかけるのではなく、黙聴で回す。他家から「六萬」が出たら9600点の栄和になる。