出演者ら将棋が指せず…藤井七段の強さを伝えられない番組
これを、まったく理解できませんという顔で聞いていたレギュラーコメンテーターの山口真由(弁護士)が、「つまり、(サッカーでいえば)ディフェンダーやゴールキーパーを前に出して攻めたってこと?」と素人丸出しの質問をしたことで、スタジオ中が「そういうことだったのか」とようやく理解した。
藤井が棋聖となった第4局を、「スッキリ」(日本テレビ系)は永世名人の森内俊之九段が解説したのだが、10時間の対局の最終盤の展開を「マラソンでいえば、残り3キロで追いついて追い抜くといった感じでした」と説明した。これで、藤井の劇的な大逆転だったことが、なんとか伝わった。
「わかりやすいたとえで解説できるかがカギになるわけですが、構成作家さんも将棋を半端にしか知らないから、そのたとえが的確なのかが判断できない。結局、毎回、勝負めしや勝負服、勝負マスクなんていう話で引っ張るしかないです」(前出のディレクター)
藤井の快進撃はしばらく続く。次のタイトル挑戦はすでに2勝している王位戦で、8月4、5日の第3局、19、20日の第4局に連勝すれば2冠だ。ワイドショーは、将棋に詳しく、話に気が利いているコメンテーターを探し回っていることだろう。渡辺徹(二段)、つるの剛士(三段)、高梨臨(初段)らに声がかかりそうだ。
(コラムニスト・海原かみな)