追悼・須藤甚一郎さん 相手の逃げを許さない高度な屁理屈
渡哲也さんの訃報と時を同じくして、元リポーターで東京・目黒区議会議員の須藤甚一郎さんが81歳で亡くなった。
20年ほど前まではリポーターでも特に目立った存在で、議員活動をスタートさせてからは、6期にわたって、ほぼトップ当選を続けてきた。
僕も目黒区民だった時に須藤さんの選挙応援演説で街頭に立ったことがある。その時はこんなふうに話をした。
「僕は正直なところ、目黒区議会で何が行われているか知りません。ただ、須藤さんが議会にいれば、問題点は絶対に見逃さず、噛みついてくれます」
まさしくその通りの人物で、取材をなりわいとする者にとってはお手本のような人だった。
須藤さんを有名にした一番の出来事は、妊娠を否定する女優に「(では)お小水ください」と言い放ち、翌日のスポーツ紙各紙の大見出しになったことだ。
これには辛口の感想もあるが、本当のところは「僕たちは(妊娠検査のために)お小水をくださいとは言えないので、自分の口で話してください」であり、その女優は「じゃあ……」と妊娠を認め、いきさつを話すことになった。