食い放題の焼き肉で相撲取りに間違えられたグレート義太夫
さて、その2人がなんでそんなに肩身が狭かったかというと、芸能人なんてのは食い慣れてしまったステーキと同じで初めの頃は物珍しげにチヤホヤしてもらえるけど、それが町内で毎日顔を合わせるとなると「松村くん、義太夫さん、同じように丸々と太っててもあちらのお相撲さんは日本中に夢を与えるのよ……それに比べてあんたらは……ムダにブクブク肥えちゃって、もうみっともないと思いなさいよ~」と普通に町のオバちゃんに言われるのだった。それが悪気がないというのがまた厄介極まりないのだ。
そんな中、あるひとつの事件が中野新橋の町に勃発したのだった。
駅から路地を一歩入ったところに焼き肉食べ放題の「K」というお店が開店したのだが、お相撲さんがひしめく町にそんな店ができたとなったら、そりゃもう砂糖に群がるアリのごとくで、たちまち相撲部屋の若い弟子がごっつぁんですと、食べまくること! とにかくいくらでも食える食べ盛りの若い相撲取りたち、おまけによう食べるのも仕事のひとつなんだから。さすがに商売にならないと判断した店の主人は思い切って出たねー! 「お相撲さんお断り!!」の大きな張り紙を!! 何事もなかったからよかったけど、血気盛んなお相撲さんでもいたら、店が壊されたかも……と思うと、ご主人の勇気に拍手~!!
そして、すっかり相撲取りの姿を見なくなったある日、義太夫くんが帽子をかぶり、その店に入り、焼き肉食べ放題を注文すると、ご主人が一言、「お相撲さん、変装してもダメですよ!」だって……。デブらしいポッチャリ憎めない、いいお話でしょう……。 =つづく