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桧山珠美コラムニスト

大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」に「今月のダラクシー賞」を長期連載中。

「半沢直樹」は日本のオトーサン向けのファンタジーだった

公開日: 更新日:

令和の日本人が失った忠義や愛社精神などが満載

 香川の貢献はともかくここまで愛される理由は何か。よく言われるのは「半沢直樹」=時代劇説。「やられたらやり返す、倍返しだ!」は「水戸黄門」の印籠のようなもの。最後に悪者がやり込められる構図は時代劇そのもの。

 他でやっていたら確実に笑ってしまいそうな芝居も「半沢」だから成立してしまう。演者も視聴者も、なにやら「半沢~ズハイ」って感じで、どんどん気持ちよくなるようなところがあった。

 冷静になってみれば怒鳴り散らし、口角泡を飛ばし、飛沫飛ばしまくりの3密上等、「土下座」の強要を筆頭にやってることはパワハラ、モラハラ、マウントの取り合いと現実にやったらえらいこっちゃなことだらけ。

 加えて上司への忠義や同期の絆、愛社精神など令和の今、日本人が失いかけているものが満載なのだ。

 現実社会でやってはいけないことを見て喜んでいるということは日本人の心のどこかに、そういうものを肯定する気持ちがあるのでは。部下を叱ればパワハラ呼ばわり、OLの服装を褒めればセクハラ呼ばわり、何かと面倒な社会で空気を読みながら生きなければいけない現代人にとってこんな痛快なドラマはない。

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