脚本家・三谷幸喜さんが語る“シットコム”への新たな思い
作ってから配信するまで1年、タイミングはよかった
――のぞいてる隣の粕谷さん父娘が、舎人真一の様子を撮影したり、やめたりと、もう一つのドタバタコメディー。
本当の主役は隣の父親(佐藤二朗)なんです。たまたま隣に越してきた舎人真一を、たまたま開いていた穴からのぞけると気づくところから始まります。舎人を隣の粕谷の父と娘(山本千尋)が見て、それをお客さんが見てるという二重構造にしたんです。香取さんが一人で失敗する面白さだけでも成立するけど、それだと昔からあるコメディーな気がして、「それを見ている人」というファクターを1つ入れました。
――隣人の粕谷家が動画配信を始めますが、現在、ユーチューバーが急増してます。
このドラマは去年書いて、去年撮影。作ってから配信するまでの1年間でこれだけ動画配信が身近なものになるとは思いませんでした。日本発のシットコムをワールドワイドに発信したかったから、タイミングはよかったかもしれません。
――海外のシチュエーションコメディーは客入れのスタジオで、収録の合間に生バンドが演奏してお客を飽きさせない。お客を入れ替えて2度撮影することもあります。
今回は生バンドを入れたんですよ! BGMを演奏してもらいました。笑い声はすべて本当のお客さんの声。撮影は1日で1話に2度ずつ行い、編集でいいとこだけをつないでいます。
――続きを予感させるラストでした。シーズン2は作られますか。
香取さんとは「シーズン10までやりたい」と話してました。カツラでやりたいと言い出したのは香取さん。それには理由があって、「今後いつまたこの役を演じることになるかわからない。その時に自分がどういう髪形になってるかわからないから、どんなタイミングでもこの役をやれるようにカツラにしたいんです」って。僕も香取さん演じる舎人真一の続きが見たいなと思います。本来、150話くらいまで続かないとシットコムとは言えない気もするので。
(聞き手=松野大介)
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▽みたに・こうき 1961年7月、東京都出身。脚本家。「古畑任三郎」「真田丸」など多数。映画監督として近年は「記憶にございません!」がヒット。2022年に大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が控える。