withコロナ時代の中国エンタメ最前線<上>1120億円の損失
1月23日に武漢が封鎖されてから9カ月。国内移動や娯楽イベントは制限され、映画館も全国一斉に閉鎖。1月24日から始まる10日間の“春節(旧正月)連休”に合わせて公開されるはずだった大作映画がすべて延期した。近年、中国では春節に映画館で最新映画を見ることが大流行。日本人が大晦日に紅白を見るのと同じくらいに年越しの定番となりつつあり、映画配給会社は今年、例年よりも力を入れて、3作のアニメと7作の実写映画、合わせて「十大作品」を上映予定だった。特にモスクワを舞台にしたラブコメディーで、徐崢が監督・主演をつとめる「囧媽(英題・ロスト・イン・ロシア)」、名監督・郎平が率いる女子バレーボールチームを題材にしたスポーツ映画「奪冠」、ジャッキー・チェンが主演で、中国の特殊部隊を題材にしたアクション作「急先鋒」、香港人のダンテ・ラムがメガホンをとった、海上救援の実話をもとにした“中国版の海猿”「緊急救援」、コメディアン・王宝強が主演で、東京の中華街を舞台にした探偵物語の「唐人街探案3」など実写版の映画は放映前から大ヒット間違いなしと期待されていた。
中でも「唐人街探案3」は、妻夫木聡、長澤まさみ、浅野忠信、染谷将太、鈴木保奈美、三浦友和ら豪華な日本の俳優陣が出演。人気シリーズの3作目で、1月18日にチケット予約販売開始から23時間で前売りの興行成績が1億元(約16億円)を突破。中国映画史上最速記録を達成。「十大作品」と合わせると春節の休み期間だけでもざっと70億元(約1120億円)の損失になる。