withコロナ時代の中国エンタメ最前線<上>1120億円の損失
8月12日からは映画館の入場人数制限を「50%以下」まで緩和。21日に急きょ、国産映画「八佰」が公開された。同作は日中戦争時代の上海四行倉庫での激戦を題材にした戦争映画で、公開から15日で興行収入22億元(約350億円)を突破。中国映画業界の救世主と言われた。「八百壮士」と称えられた“国民党の将士”が主人公で、国民党軍を美化する描写のために昨年6月、第22回上海国際映画祭で急に上映中止になったが、8月に上映されると、活気を失った中国映画市場の起爆剤になった。
■ディズニー映画「ムーラン」は主演女優の舌禍に見舞われ…
米・日本では公開未定のディズニー映画「ムーラン」は、9月11日から上映。鞏俐(コン・リー)、李連傑(ジェット・リー)ら中国人キャストが多数出演し、10月の国慶節連休の目玉の予定だったのだが……。
ストーリーは古代中国南北朝時代を舞台に、足に障害を持つ父の代わりに、男装をして従軍した少女ムーランが、やがて戦士として活躍することになるという、中国では知らない人がいないほど有名な歴史物語がベース。1000人の候補者から主役を勝ち取ったのは武術に秀で、英語も堪能な新人女優、劉亦菲(リウ・イーフェイ・33)。湖北省武漢出身でハリウッドでも活躍している。ところが公開早々、劉亦菲の舌禍で思わぬ展開に。昨年、彼女が書いた「私は香港警察を支持します。叩かれてもいい」というコメントが香港民主化活動の元リーダーに暴露され、香港・台湾・タイではボイコット運動が広がり、肝心の中国国内からも「既にアメリカ国籍を取得した劉亦菲は本当に中国映画の主役に適任なのか」「主人公のムーランは南北朝時代北魏の鮮卑人で、本当は漢民族ではない」「ディズニーはいい加減だ」などバッシングにさらされ、コロナ後の中国映画界はいまだ混乱が続いている。 =つづく