話題の映画「プラットフォーム」が暴く格差社会のリアル
富裕層や大企業を優遇すれば経済が活性化し、貧しいものにも富が滴り落ちる――。日本では竹中平蔵氏が自民党政権のブレーンとして、長年旗振り役を担ってきたトリクルダウンの経済理論だ。ところがそんなミラクルは実際には起きず、最近では否定的な学術論文も登場。当の竹中氏はユーチューブチャンネルを開設したとたん、低評価と批判の嵐にさらされコメント欄閉鎖に追い込まれるなど、明らかに潮目が変わってきている。
世界の映画界でも、分断を象徴するトランプにNOを突き付けたハリウッドを先頭に、格差社会批判が強まっているが、中でもスペイン映画「プラットフォーム」の設定があまりにもキョーレツと話題だ。映画批評家の前田有一氏がこう語る。
「スペインには、SFなどジャンル映画を集めたファンタスティック映画祭の中でも世界最高峰といわれるシッチェス・カタロニア国際映画祭があるのですが、そこでSFマニアに絶賛され、最優秀作品賞を取ったのがこの映画です。その寓話的なストーリーと設定は、現実世界のトリクルダウン批判そのものだと評判になりました」