話題の映画「プラットフォーム」が暴く格差社会のリアル
■餓死、殺人が横行する下層階
主人公の男が目を覚ますとそこはコンクリ張りの出口なき部屋。中央は吹き抜けで、一日に一度、上層階から巨大な“プラットフォーム”が下りてくる。そこには山ほどのごちそうがのっているが、上から48階層目にあたる彼のフロアに到着するころには、各階2人ずつの住人に食い荒らされ、ひどいありさまだ。だが真に恐ろしいのは、月イチで「階層の入れ替え」が行われ、予告なしでさらなる下層階に追いやられる可能性があることだった。
映画は快適きわまる上層階と、餓死や殺し合いが横行する下層階の壮絶な状況を、入れ替わる住人たちの豹変ぶりとともにシニカルに描く。
「ホラー風味のSFですが、資本主義の階層社会の残酷さを見事に言い当てています。全員に行き届くはずの食料を乗せたプラットフォームは、しかし下層に届く前にカラになる。上層民に、食事を残すよう呼びかける主人公の絶望的な試みは、“人民は連帯できるのか、社会は富を分け合えるのか”をこちらに問いかけてきます」(前田氏)
どれだけ踏みつけられてもいまだに自民党を支持している“下層民”も映画を見て現実を知るべきだ。