NHKドラマ10「半径5メートル」“影の主役”永作博美の存在感
ドラマ10「半径5メートル」(NHK)の主人公、前田風未香(芳根京子)は週刊誌「女性ライフ」の編集者だ。以前は芸能ゴシップを追う「1折班」にいたが、取材中の失敗を機に「2折班」に異動した。2折は生活情報を扱うページ。ネタは「半径5メートル」の身近なところで見つける。
風未香が書いてきたのは、レトルトおでんを買った主婦と手作りを主張とする「おでんおじさん」の対立。女性用の風俗サービス「出張ホスト」。さらに、断捨離の逆で「私はこれを捨てられません」という記事などだ。
テーマを決めた時点での思い込みが、取材を通じて徐々に崩れていき、最後は自身の「ものの見方」がちょっと変わってくる。そんな風未香をアシストしているのが、指導係でもあるベテランのフリーライター、亀山宝子(永作博美)だ。
料理における「手作り」の範囲が曖昧であることを検証し、2折班デスク(尾美としのり)の妻から「出張ホスト」の体験談を聞き出し、絵本作家(塚本晋也)からもらったアンティークチェアを使って、人と物との関係を探る実験まで行う。
常識に縛られないユニークな視点で物事の本質に迫る宝子を、永作が飄々と楽しげに演じている。“陰の主役”とも言える存在感だ。そして永作がいてくれることで、芳根ものびのびと表現できる。最近の出演作ではピカイチの一本となった。