神楽坂浮子は“銀座の女”をテーマにして作詞家デビューした
■芸者歌手・神楽坂浮子からの作詞の添削依頼
これまで、現役芸者を売りにしてきた神楽坂浮子にとっては大きな賭けとなったが、「いっそ、これを機にイメージチェンジをはかろう」と、彼女は銀座の女をテーマにした自作の詞を書いた。そこで友人で銀座マダムの山口洋子に添削を申し込んだのである。このときのことを洋子は次のように回想している。
《わかった了解と軽く引き受け、あっちを直しこっちに手を加えているうちに、もとの詞が見えなくなってしまった。これならいっそ山口さんの作詞という進行でお願いできませんか、現役の銀座マダムの作品ということになれば、説得力もあるし話題にもなる。ディレクターに勧められて調子に乗ったのが発端だ》(「ザ・ラスト・ワルツ『姫』という酒場」文春文庫)