「かぐや様は告らせたい」「推しの子」…赤坂アカのストーリーはなぜ面白い?
一方、「【推しの子】」で描かれているのは、「リアルな芸能界」。主人公が推していたアイドルの子供に転生するという起承転結の「起」の部分は一見ファンタジーだが、恋愛リアリティーショー番組での誹謗中傷で、自殺未遂を起こす出演者のエピソードや、2.5次元の舞台の裏側や、原作の漫画の悪改変に葛藤する漫画家など、割とドロドロした群像劇が繰り広げられている。
いずれもライトノベルとして出版されていても売れていただろう。それだけ圧倒的に、ストーリーだけで作品そのものを成立させ、「魅せる」ことができている。
■分析プロデューサー型の漫画家?
実際に赤坂氏は自分のことを「小説型」と表現し、実は元々、原作者志望だったことをダ・ヴィンチ10月号の横槍氏との対談で明かしている。赤坂氏は原作者としての力量でなく、潜在的なニーズにアプローチし、それをメインのニーズへと押し上げるプロデューサー的な視点も持ち得ているのだろう。「かぐや様~」も一見よくある2人が恋人同士になるまでの過程を楽しむというセオリーを守りながらも、今までにない見せ方で展開されている。そして一巻ごとのストーリーの「完パケ感」が読了のカタルシスを与えてくれ、それはまさに緻密な分析と計算のもとになされているのではないか思わざるを得ない。