著者のコラム一覧
二田一比古ジャーナリスト

福岡県出身。大学卒業後、「微笑」(祥伝社)の記者に。その後、「Emma」「週刊文春」(ともに文芸春秋)をはじめ、多くの週刊誌、スポーツ新聞で芸能分野を中心に幅広く取材、執筆を続ける。フリー転身後はコメンテーターとしても活躍。

テレ朝「報ステ」苦戦中…大越健介キャスターでも“脱NHK”がいかに難しいかを物語る

公開日: 更新日:

 テレビ朝日の看板番組「報道ステーション」がNHKを6月に退職した大越健介(60)を10月からキャスターに起用。注目を集めていたが、視聴率は芳しくない。時には2桁を割る日もある。夜10時台で初のニュース番組として視聴習慣がついていただけに、「大越さんならどんな番組になるか」と期待もあり視聴率はアップするものだが、下がったのは予想外だろうと思う。

「これまで報ステを見ていた人が“つまらない”とチャンネルを替えたことで、常連の視聴者の一部が離れた結果だと思う。このままさらに番組離れが起こる可能性もある」と放送記者は言う。

 報ステの前身、「ニュースステーション」が始まったのは1985年。司会に起用された久米宏TBS局アナ時代「ザ・ベストテン」などバラエティー番組で軽妙な司会ぶりが人気だった。フリーになって初の正統派ニュース番組の司会。いったいどうさばくかが注目されたが、これまでにない新しい形の報道番組を作り上げた。

 時には怒り、時には大笑い、「物言うキャスター」の久米をうまくサポートした当時、局アナの小宮悦子とのコンビネーションも絶妙な味だった。また、番組の冒頭、テーブルの下から小宮の美脚を見せる演出も殿方を喜ばせた。当時の平均視聴率は14.4%。番組は19年続いた。

NHK出身キャスターは女性のほうが順応している

 久米からバトンタッチを受け今の「報道ステーション」に名を変えて新司会者に就任したのが古舘伊知郎だった。古舘もテレ朝の局アナ時代はプロレスの名実況で知られるマシンガントークで人気を博したが、やはりニュースであのトークは「大丈夫か」と心配する声をよそに、古舘色はより輝きを増し、報ステを安定期に導いた。

 しばらく局アナが司会を務める時期を経て3代目に就いたのが大越だった。前任の2人と違いNHK時代は政治記者から「ニュースウオッチ9」のキャスターに就任した。優しい顔と安定した口調で主婦層からも支持されていた。そんな期待もあっての起用だろうが、「民放の顔になったからには久米や古舘までいかなくとも、多少のくだけた話も期待していたが、NHKの教育のまま、型通りの司会。これでは“ニュースウオッチ9”を見ているのと変わらない」(テレビ局関係者)。

 一見、柔軟性を兼ね備えているように見えた大越でも長年培ったNHKの殻からの脱却がいかに難しいかを物語る。

 その点、むしろ、女子アナのほうが順応に見える。2018年にNHKを退職。フリーになり半年後に日本テレビ「news zero」の司会者になった有働由美子。大越とは対照的にNHK時代は「あさイチ」など情報番組で鍛えた柔軟なスキルがニュース番組に生きている。失言もあるが、それも今では「有働らしさ」と言われ人気の一因になっている。

 有働よりも先にフリーになった神田愛花も活躍が目立つ。バナナマン日村勇紀と結婚した頃は「鼻につく」と言われたこともあったが、最近はバラエティーも含めさまざまな番組に出演。主婦らしい感覚でざっくばらんな世間話から局アナ時代の逸話など「この人、本当にNHKにいたの」と好感度を上げている。

 NHKと違い民放はニュース番組も視聴率が求められる。期待値が高かった大越はどう巻き返すのか。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    松本人志「事実無根」から一転、提訴取り下げの背景…黒塗りされた“大物タレント”を守るため?

  2. 2

    島田洋七が松本人志復帰説を一蹴…「視聴者は笑えない」「“天才”と周囲が持ち上げすぎ」と苦言

  3. 3

    人気作の続編「民王R」「トラベルナース」が明暗を分けたワケ…テレ朝の“続編戦略”は1勝1敗

  4. 4

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  5. 5

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  1. 6

    松本人志が文春訴訟取り下げで失った「大切なもの」…焦点は復帰時期や謝罪会見ではない

  2. 7

    窪田正孝の人気を食っちゃった? NHK「宙わたる教室」金髪の小林虎之介が《心に刺さる》ファン増殖中

  3. 8

    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

  4. 9

    菊川怜が選んだのはトロフィーワイフより母親…離婚で玉の輿7年半にピリオド、芸能界に返り咲き

  5. 10

    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    西武ならレギュラー?FA権行使の阪神・原口文仁にオリ、楽天、ロッテからも意外な需要

  2. 2

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  3. 3

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  4. 4

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  5. 5

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  1. 6

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  2. 7

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 8

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  4. 9

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇