歌手・松山順さんが語る 94年にハワイで殺害された占い師・藤田小女姫との出会い
「1月8日に、いつものように先生に呼ばれました。僕が『今年はどんな年になりそうですか』と聞いたら、先生は神妙な感じで様子がなんだかおかしかった。そして『今年はあなたにとってビックリすることが起きる。気を引き締めて』とおっしゃったんです。事件が起きたのはそれから1カ月ほどです。マスコミの方の電話で事件を知りました。仰天しました」
後ろ盾を失った松山さんはその後、昼間はカラオケ教室で歌を教える一方、ラジオ日本で「松山順のふれあい宅配便」をスタートさせた。
「生前、先生には『あなたは将来文筆家になる』と言われました。忘れられないのは『素晴らしい声で歌い上げても言葉は音に過ぎない。好きなら好きと心から思ったら言葉として生きる』という先生の言葉です。その言葉を支えに作詞を勉強しました。僕は曲と詞を同時に作るのですが、その言葉を思い浮かべると不思議なことに先生の温もりを感じるんです」
■昨年の熊本の豪雨災害でクローズアップの「球磨の女」
亡くなって12年後の2006年「球磨の女」(作詞・作曲/松山順)が発売され、再デビュー。「先生の教えを守ったから実現したと思います。『球磨の女』はレコード会社のヒット奨励賞をいただくことができました」。そして球磨の名を広めたことが評価され、球磨郡町村会から、ふるさと球磨観光大使を委嘱された。