いまの皇室の足元が揺らいでいる理由は何か
■「特別な存在」や「国民に寄り添う」に続く次の天皇像がつくれない危機ともがき
「平民」から嫁いできた美智子さまは大スターとして国民の歓迎を受けたが、美智子さまの場合は「平民」といってもハードルは低かったともいえる。私たちと同じ民間人といっても、財閥系大企業の令嬢であり、聖心女子大を首席で卒業したという、一般庶民には手の届かない女性だったからだ。もちろんそれだけでなく、皇后になると天皇と共に「国民に寄り添う天皇」を試行錯誤されながら象徴天皇像を築き上げたのだから、国民はそんな両陛下に自然と頭が下がったのだろう。
時代に合わせて、これからも皇室はさらに開かれていくだろうが、それでも天皇は特別な存在でなければならない。何が「特別な存在」なのかは、その時代で変わってくるのだろうが、もし国民の人気に左右されるようなことにでもなれば、それこそ象徴天皇制を不安定にさせる。仮に「愛子天皇」が実現したとしても、国民の人気に一喜一憂しないといけないなんて、こんなバカバカしいことはない。日本国憲法下ではすべての国民は平等だが、天皇は例外なのだ。国民に人気があるかどうかに関係なく、天皇が国民から敬愛されるにはどう演出すべきか。上皇上皇后が築いた「国民に寄り添う天皇」を超える新たな天皇像が求められているのかもしれない。
時代に歩調を合わせるのはいいが、時代に流された皇室は消えてしまいかねない。 (つづく)