桂文枝師匠は300本を超える“創作落語”を作るも「漫才は難しいわ」
先日、「新婚さんいらっしゃい!」の司会を勇退された桂文枝師匠。「同一司会者によるテレビトーク番組の最長放送」としてギネス世界記録に認定されて、51年3カ月も続けられていたことは、ご自身もおっしゃっていましたが「異常なこと」。飄々とした笑顔の中に見えないところでどれほどの努力があったのかと思うと頭が下がります。
私が文枝師匠とお会いしたのは1984年の暮れ。「爆笑BIG3」(関西テレビ)というお正月特番で、初めてオール阪神・巨人さんの全国ネットの漫才台本を書かせていただいた時でした。共演は桂三枝(当時)、横山やすし・西川きよしの2組。テレビの中で見たスターと楽屋でお会いし、緊張でガチガチでご挨拶したのを今でも覚えています。
「君が書いたん? 初めてやな?」「はい、初めて全国ネットで書かせていただきました」「本多君やな、覚えとくわ。これからどこでお世話になるかわからへんから、こちらこそよろしくお願いします」と丁寧に頭を下げていただきました。子供の頃からテレビで見ていたスターにもかかわらず、私のような駆け出しの新人作家に対する腰の低い対応に感激しました。以降、漫才と落語の違いもあり、仕事の面では特番以外でご一緒することはほとんどありませんでしたが、楽屋でお会いすると「頑張って書いてる? 漫才の作家さんも少ないから続けてや」といつも声をかけてくださいました。