桂文枝師匠は300本を超える“創作落語”を作るも「漫才は難しいわ」
30年近くも前になるでしょうか、「三枝師匠から本多さんにお願いしたいことがあるのでお時間いただけますか?」とマネジャーさんから声がかかり「創作落語を書いてみいひんか?」やと大変や……と勝手に想像を膨らませて、個人事務所へお訪ねすると「わざわざごめんね。今度、番組の中で女性のイタリア料理研究家の人と漫才することになってね。ぜひ書いてほしいねんけどスケジュール的にいけるかな? けっこう早いねん(あまり時間がない)」ということでしたが、創作落語じゃなかったのでひとまず安心、漫才ならなんとかなると思い「ぜひ書かせて下さい」とその場でお引き受けしました。
「僕も考えてることはあんねんけど、(それを)言うとそっちに流されると思うから1回、本多君の方で“こんなんどうや?”いうのん考えてみて、頼みますわ。落語は作れんねんけどね、漫才のかけあいとは違うねんな。(漫才は)難しいわ」と言われて書かせていただくことになりました。
料理研究家の方は素人の上に片言の日本語しか話せないので、言葉遊びは排除。詰まっても三枝師匠がカバー・フォローをしやすいよう体で「イタリア」を表現するようなネタを書いて持って伺うと「僕もおんなじようなこと考えてたんよ。こういう方が負担が少ないしエエよね」ということで微調整をしながら仕上げ、本番も楽しくやっていただきました。