<180>逮捕の3年後に裁判が開かれた「シュノーケル殺人事件」
2017年7月に発生した「シュノーケル殺人事件」では、磯遊びをしていて亡くなったという妻はダイバーのライセンスを所有しており泳ぎも達者だった。警察は、彼女が浅い磯で溺れることは考えられないと判断した。
夫には愛人がいて懐妊しており、結婚をせがまれていたため、この愛人との結婚を約束し妻を水死に見せて殺害したとして、和歌山県警は18年4月に夫を殺人容疑で逮捕した。
妻が溺れたときの目撃者は皆無だったが、夫が潜っていた妻の背中を海底に押し付けて水死させたとし、解剖した妻の胃から海底の砂が出てきたのが証拠だとした。つまり、無理やり押し付けない限り胃に砂が入ることはない、と検察は主張したのである。
ただし、夫が実行犯とする証拠は全くなかった。当時、磯で泳いでいたのは夫婦だけとしているが、防犯カメラがあるわけでもなく、非常にアバウトな内容になっている。
夫は全面否認だったが、否定し続けたことが影響したのか接見禁止だったし、夫の弁護士もマスコミの取材に協力することもしなかった。もちろん協力する義務はないが、世間の同情を得るために動いたり、疑惑を明らかにすることもしなかったのだ。