六平直政さん「オレの髪がフサフサだった頃、唐十郎さんと長男・義丹と伊豆で撮った1枚は…」
がんになった佐野史郎が復帰、本当によかった
「状況劇場」の同期には佐野史郎がいる。今でも親友だよ。若い頃、半年一緒に暮らしたこともあるよ。史郎の実家は医者だから、劇団員でもカネがあって、布団だって羽根布団使ってたんだよ。だから、「今日から一緒に住むからな!」と勝手に宣言して、転がり込んだ(笑)。史郎は「ええ~っ」て嫌がってたけど、一緒に夜の街に繰り出しておでん食ったり、酒飲んだり、稽古サボって日比谷に「ゴジラ」の音楽のコンサートに一緒に行ったり……楽しかったなぁ。オレの青春だよ。
でも、その史郎がドラマ「ずっとあなたが好きだった」(TBS系)で売れた時は嫉妬した。おかしなもんで、先輩や後輩が売れてもしないんだけど、同期が売れると嫉妬するんだよ。でも、それでケンカになったりはしない。史郎は優しいからケンカになんない。
去年、史郎ががん(多発性骨髄腫)で入院した時は、「病気になっちゃったよ」って連絡がきたから、「たくさん食べてたくさん寝ないとダメだ」って言ってやったんだ。忙しくて、寝る時間を削るほど働いてたみたいだから。今は良くなってテレビにも復帰、本当によかった。お互い長生きしたいものだ。
同年代の役者が病気になったり亡くなったりすると、本当につらい。4年前に亡くなった大杉漣さんはオレより3歳年上なんだけど、まだ売れない時代に、横浜そごうで夜中に内装のアルバイトをしてて知り合って、フットサルを一緒にやったこともある。彼は「転形劇場」って劇団で沈黙劇をやっていたのに、ある時、セリフをしゃべる芝居を見たらうまくてね。すごいなあって思ったな。