森英恵さんの偉大な足跡と美空ひばり“不死鳥”衣装秘話 そして孫2人は遺伝子を受け継ぐのか
「日本映画における女性パイオニア」
このほど亡くなったファッションデザイナー森英恵さん(享年96)は、そんな呼ばれ方もした。1950年代の日本映画黄金期から石原裕次郎主演の「太陽の季節」に「狂った果実」、吉永小百合の「キューポラのある街」、小津安二郎監督の「秋刀魚の味」など、約400本で衣装を手掛けたからだ。
「裕次郎さんや長門裕之さんのアロハシャツも鮮烈でしたけど、後に裕次郎さんと結婚する北原三枝、南田洋子らの洗練された、磨き抜かれたエレガントな衣装で銀幕を彩った。とても話題を集めたと今も語り継がれています。脚本からイメージを膨らませ、作品のテーマに沿って、デザイン画をつくり、女優に合わせて仮縫い、縫製までこなしていたというのですから、凄いのです」とさる映画関係者は振り返る。
日本航空のCAの制服、五輪の選手団のユニホームなどで、日本のイメージを世界に印象付けただけじゃなく、芸能界にも彩りを添えた。芸能プロ幹部はこう言う。
「思い出されるのが、美空ひばりさんの東京ドームでの復活コンサート(88年)の衣装です。深紅とゴールドの2着は『不死鳥』をイメージした力強さがありながら、ひばりさんの体調をおもんぱかり、とことん軽量化をはかり、フラットのシューズが目立たないよう、ど派手な帽子をつけた。ひばりさんの力強い歌声、雄姿とともにファンの記憶に焼き付いていると思います」
タレントの森泉(39)、森星(30)は、森さんの孫。泉は祖母「ママ森」について、こう語っている。
「仕事をするために戦うじゃないけど、自分で独立して、やりたいことをやる。人からどう思われるとかあまり気にしていないんですよ。自分の世界があって、実現したいことを追求していく」
だから、世界で活躍し、日本人初にして、唯一のパリ・オートクチュール組合正会員となったとの印象らしい。