元俳優・遠藤雅さん NHK朝ドラ「ひまわり」をピークに仕事減り、コンビニでバイトの日々
「『ひまわり』をピークに仕事が減っていき、俳優をしながら、ずっと深夜のコンビニでバイトしていました。子供が1歳半になった頃、妻に『もういいんじゃない。自然豊かな土地でのんびり子育てしようよ』と引導を渡されました。大きな決断でしたが、札幌に戻ったとき、空の広さが気持ち良くて『これが日常なんて、なんてぜいたくなんだ』『なんでもっと早く帰ってこなかったんだ』と思いました」
もったいない気もするが……。
「いえ、役者の仕事って、すごく消耗するので、僕はひとつの作品が終わるたびに熱を出して入院したりしていたんです。向いてなかったのかな(笑)。それに、僕は本当に未熟で覚悟も足りなかった。売れなくなって愚痴や嫉妬ばかり口にしていたら、慕っていた飲み屋のマスターにも嫌われ……。さすがに、自分自身に問題があるのだと気づき、紙に自分のダメなところを書き出したら挨拶しないとか、ありがとうと伝えないとか100個くらいあって(苦笑)。それが28歳の頃。それから自分で自分を叩き直していったら、2010年に映画『川の底からこんにちは』の舞台挨拶で、石井裕也監督に『こんなに謙虚な俳優を見たことない』と言ってもらえたんです。それに感動し自分を誇りに思えたので、俳優業に区切りをつけられました。今は北海道全域を飛び回って各地のグルメや新店情報、お出かけスポット、農家や漁師さんの夢や苦労話を視聴者にお届けするのが仕事。やり甲斐があって楽しいですよ」