スティーブン・スピルバーグ監督が初の自伝的作品「フェイブルマンズ」で得たカタルシス

公開日: 更新日:

 映画「ジョーズ」「未知との遭遇」「E.T.」などの作品で知られる巨匠スティーブン・スピルバーグ監督(76)が約50年のキャリアで初の自伝的作品「フェイブルマンズ」。アカデミー賞で3度目の監督賞こそ逃したが、ゴールデン・グローブ賞で作品賞(ドラマ部門)、監督賞のダブル受賞を果たし、現在公開中の日本では中高年を魅了している。

 コンピューターエンジニアで理知的な父と、奔放なピアニストの母を持つユダヤ系アメリカ移民サミー・フェイブルマンは6歳のとき、映画「地上最大のショウ」(1952年)を見て、8ミリカメラを手にする。列車の衝突、転覆シーンを、おもちゃの鉄道でたちどころに再現してしまうところといい、天才演出家の原点がうかがい知れるが、映画の主眼はそこではない。

 やがて離婚していく両親は才能を理解し、バックアップするどころか、邪魔し障害となるような言動ばかり。母は父の親友と不倫し、父がキャリアアップのためにカリフォルニアへと引っ越したことで、フェイブルマンは露骨な差別、いじめに遭い、顔が歪むほど殴られてしまう。どこにも居場所はない。いつも彼のまわりには雨が降っていて、苦渋と孤独、痛みに満ちた青春期を送る。映画評論家の町山智浩氏はラジオなどでこう言っている。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    演技とイケオジぶりで再ブレーク草彅剛と「10億円マンション売却説」中居正広氏との“絆”

  2. 2

    泉ピン子が終活をやめたワケ「渡る世間は(水原)一平ばかり!」スペシャルインタビュー

  3. 3

    阪神からの戦力外通告「全内幕」…四方八方から《辞めた方が身のためや》と現役続行を反対された

  4. 4

    キムタク一家の妹Kōki,は映画主演の裏で…フルート奏者の姉Cocomiの話題作りと現在

  5. 5

    かんぽ生命×第一生命HD 人生設計に大切な保険を扱う大手2社を比較

  1. 6

    米田哲也が万引きで逮捕!殿堂入りレジェンド350勝投手の悲しい近況…《苦しい生活を送っていたのは確か》

  2. 7

    イスラエルにあなたの年金が流れていく…厚労省「ジェノサイド加担投資」引き揚げ“断固拒否”の不可解

  3. 8

    坂本花織の世界選手権66年ぶり4連覇に立ちはだかる…国際スケート連盟の「反トランプ感情」

  4. 9

    カーリング日本女子が到底真似できない中国の「トンデモ強化策」…世界選手権では明暗クッキリ

  5. 10

    公表された重点施策で露呈…JR東海の株価低迷と時代遅れの収益構造