韓国発リアリティー番組「脱出おひとり島」世界的大ヒットの理由 SNS時代ならではの追求ぶり

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 その点で注目されるのは「脱出おひとり島」の出演者が皆ワイヤレスマイクを装着している点だ。かつてなら機材が映り込むことは「リアルさ」を損なうものとしてご法度であり、ガンマイクを持つ音声スタッフや別のカメラマンは画角の外で出演者を取り囲んでいた。しかし、インスタグラムやTikTokといったSNSにアップロードするための動画撮影がこれだけ一般化した現代では、そうした絵面を想起させること自体が視聴者にとってはむしろ滑稽となる。

 そこで「脱出おひとり島」はワイヤレスマイクを堂々と使用してリアルな生音の収録に万全を期すと同時に、誰一人として撮影スタッフが映り込んでいないドローンの空撮ショットを挿入し無人島感を強調する。

 望遠レンズを多用した「透明感」のある繊細な映像、「映え感」と「エモさ」(情動の揺さぶり)を訴求するイマ風の撮影技法と相まって、「脱出おひとり島」はSNS時代ならではの「リアル」を届けることに成功しているといえるだろう。

▽北島純(きたじま・じゅん) 映画評論家。社会構想大学院大学教授。東京大学法学部卒業、九州大学大学院法務学府修了。駐日デンマーク大使館上席戦略担当官を経て、経済社会システム総合研究所(IESS)客員研究主幹を兼務。政治映画、北欧映画に詳しい。

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