芸歴が埋まる稀有な存在 コントによって塚地武雅が切り開いた芸人の「王道」
塚地は一度就職したのちに芸人になっているため、デビューが遅い。年齢的にはナインティナインと変わらないので、オーディションに参加できなかった。だが、浅草の寄席・木馬亭でコントライブを開催した際、観客はわずか3人だったが、その中に番組ディレクターがいて、出演が決まったのだ。
そこから選抜されて「はねトび」メンバーに。番組でのコントが俳優の仕事にもつながった。自らがパイオニアだというロバート秋山と一緒に演じた「ネットアイドル命 MUGA様とおーたむSAN」というオタクネタ。このキャラのままで出てほしい、と月9ドラマ「いつもふたりで」(フジテレビ系)に出演したのだ。
さらに森田芳光監督の06年の映画「間宮兄弟」(配給アスミック・エース)も、「エンタの神様」(日本テレビ系)で披露したコントを見て、オファーされたという。だから「コントの延長線上ですね」(ブロードメディア「クランクイン!」21年7月22日)と塚地は振り返る。まさに、コントによって道を切り開いてきた。
塚地は冒頭の番組で「お笑い一本で行く」ことを諦めたとも語る。お笑いと演技両方やっている劣等感があったと。だが、NHKの朝ドラ「おちょやん」でエンタツ・アチャコのアチャコをモチーフにした役を演じて気がついた。「先人もやってるやん!」と。彼もまた、演技の仕事をしていたのだ。
そう、実は塚地は芸人の“王道”を突き進んでいる。