俳優・平岳大さんが語る『SHOGUN 将軍』撮影秘話 人生とリンクする「2匹の招き猫」との出会い

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ご飯をあげたら「おいしい、おいしい」と食べたサモン

 もう一匹は堺雅人さん主演の連続ドラマ「塚原卜伝」(NHK・BSプレミアム=11年)に出た時に連れてきた猫です。収録は茨城にあるNHKの時代劇のオープンセット「ワープステーション江戸」で行われました。夏の暑い日でした。撮影が終わり、カツラを取って、プレハブみたいな建物から出たら、アシスタントプロデューサーが子猫を抱えていた。

「その猫、どうしたんですか」と聞いたら、「その辺にいたんですよ」と言う。その頃、長期のロケが多くて留守にすることも多く、サンダーが食べ過ぎでストレス太りみたいな感じになっていたので、困ったなあと思っていました。できれば寂しい思いをさせないようにもう一匹飼いたい。そう思っていたところにその猫が現れたので、ホテルに連れて帰りました。

 子猫がお腹をすかしているのがわかりました。でも、キャットフードを売っている店なんかない。それでコンビニでハムみたいなものを買ってきて、本当に子猫なので、僕が噛んだのを食べさせたんです。すると、おいしそうにガツガツ食べて。その時に、何か言っているのが「おいしい、おいしい」と聞こえたんですよ。猫が「おいしい」って変に思われるかもしれませんが、本当にそう聞こえた。あの光景は今でも忘れることができませんね。

「塚原卜伝」では山崎左門という家臣の役でした。名前はそこからサモンと名づけました。

 コロナが収まって落ち着いたから、ハワイに連れて行こうかなと思っていたのですが、今ではすっかり妻のお父さんに懐いて、僕が帰ってきてもプイッとそっぽを向いて見向きもしない。なので、無理に連れて行かず、このままでもいいかなと思っています。僕にとって猫は、大事な節目節目に現れるかけがえのない存在です。

(聞き手=峯田淳/日刊ゲンダイ

▽「SHOGUN 将軍」 ジェームズ・クラベルの1975年の小説「将軍」を原作としたディズニープラスが配信する時代劇。アメリカではFX、Huluでも配信されている。主演の徳川家康に当たるキャラクター吉井虎永を真田広之、同様に、ジョン・ブラックソーン(ウィリアム・アダムス=三浦按針)をコズモ・ジャーヴィス、石堂和成(石田三成)を平岳大、樫木藪重(本多正信)を浅野忠信、戸田鞠子(細川ガラシャ)をアンナ・サワイらで演じている。全10話。世界的なヒットを受けて第2、第3シーズンの制作も発表された。

▽平岳大(ひら・たけひろ) 1974年、東京都生まれ。2002年舞台「鹿鳴館」でデビュー。大河ドラマ「篤姫」「江」「真田丸」や「大岡越前」などの時代劇、朝ドラ「だんだん」などドラマ、映画出演も多数。海外のドラマ、映画でも活躍している。

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