8月「納涼歌舞伎」 今年は勘九郎・七之助・巳之助の意気込みに感涙

公開日: 更新日:

 彌十郎は一部、二部とも家主の役。『髪結新三』は、新三と家主のやりとりが山場だが、彌十郎は乗りに乗って演じ、勘九郎を追い詰め、盛り上げる。

 第三部の『狐花』は、ミステリー作家の京極夏彦が歌舞伎のために書き下ろした新作で、京極は脚本を書くと、それを自ら小説にして、書き下ろした。

「幽霊が出た」という事件を描くが、幽霊は存在しないという世界観だ。怪談ではなく、理知的なミステリーで、幸四郎演じる探偵役の「憑き物落とし」中禪寺洲齋(京極の「百鬼夜行」シリーズの探偵役・中禅寺秋彦の曽祖父という設定)が解決していく。

 歌舞伎の趣向を生かした作りにはなっているが、どこまでも理知的な世界観で貫かれている。

 幸四郎はセリフが多いわりには影が薄く、悪役にまわった勘九郎の迫力と、謎めいた美男子の七之助の妖しさが印象に残る。美少年イメージから脱却したい様子の染五郎は中年男性の役で、若く見えてしまうものの、悪の側の人物をしっかり演じていた。

(作家・中川右介)

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    演技とイケオジぶりで再ブレーク草彅剛と「10億円マンション売却説」中居正広氏との“絆”

  2. 2

    元ソフトバンク「伊奈ゴジラ」の転落人生…淡路島で盗み84件総額472万円、通算5度目の逮捕

  3. 3

    大関・大の里すでに「師匠超え」の鋼メンタル!スキャンダル報道もどこ吹く風で3度目賜杯

  4. 4

    米田哲也が万引きで逮捕!殿堂入りレジェンド350勝投手の悲しい近況…《苦しい生活を送っていたのは確か》

  5. 5

    テレ朝に“ナスD”超え「1億円横領」続々の過去…やりたい放題で解雇された社員のヤバい所業

  1. 6

    東洋大姫路・岡田監督が吐露「本当は履正社に再任用で残る予定で、母校に戻るつもりは…」

  2. 7

    かんぽ生命×第一生命HD 人生設計に大切な保険を扱う大手2社を比較

  3. 8

    山下智久「正直不動産」映画化でひと儲け狙うNHKに「甘い」の声も…山P人気は下降気味

  4. 9

    レイズ看板選手「未成年への性的虐待容疑」で逮捕も…ドミニカは殺人も銃撃も「無罪放免」の実態

  5. 10

    キムタク一家の妹Kōki,は映画主演の裏で…フルート奏者の姉Cocomiの話題作りと現在