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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。「芸能界」というビジネスは、いかにして始まったのか。貴重な証言を収録した「芸能界誕生」(新潮新書)。伝説の番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」を基に描く青春群像ノンフィクションノベル「史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記」(双葉社)。2つの最新著が絶賛発売中!

M-1優勝しか目指していなかった トム・ブラウン「命がけ」の狂気

公開日: 更新日:

 芸歴15年までが「M-1」の出場規定。ラストイヤーの今年、2人は昨年のフォーマットをブラッシュアップしたネタで挑んだ。準決勝の日は生まれて初めて「有吉の壁」(日本テレビ系)の収録を休んで臨むほどの力の入れようだった。決勝でインパクトさえ残せばいいと思っているタイプのイメージだが、「優勝」しか目指していなかった。

 トム・ブラウンがそれだけ漫才に注力している要因のひとつは事務所の先輩・オードリーの存在だ。ライブで共演し「オードリーさんがテレビに出続けているのに、しびれるような漫才をする。それを見てたら、われわれも命がけでやらないとダメだな」(「あちこちオードリー」=前出)と思ったのだ。

 伊集院光はトム・ブラウンの特異な猟奇性について「トム・ブラウンの人を殺してそうなのどっち? っていうとすごい難しい」と表現する。

「みちおくんは愛しすぎて殺しちゃってたタイプで、布川くんは絶対許せないことがあって殺してるタイプ。あんなペアなかなかない」(テレビ東京系「伊集院光&佐久間宣行の勝手にテレ東批評【配信オリジナル】」24年11月2日)と。

 テレビで活躍していても2人の狂気は失われていない。冒頭の番組では、最終決戦に残れば披露する予定だった「剛力彩芽の顔を入れ替える」というネタで、破壊的な爆笑を奪っていた。

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