長与千種との「髪切りデスマッチ」でダンプ松本の“影武者”としてデビュー
──こうして“訳アリデビュー”はアッサリ決まった。8月28日、メインイベントのゴングが鳴り、影は顔面ペイントに黒いサングラスで花道を歩く。
「ダンプさんの試合はいつも見てたから、動きは大体わかってた。予想外だったのはリングセンターで、ちこさん(長与)がおでこがくっつくほどの超至近距離でにらんできたこと。内心、『これ、どうしたらいいの? こんなに近くに来られちゃっても困っちゃうんだけど』と思ってね、バレるんじゃないかとひやひやしたよ」
──極悪同盟のセコンドが突然マスクを脱ぎ“本物のダンプ松本”が登場。1万人の観客も、実況解説者もマンマとダマされた。この“替え玉入場”シーンは「極悪女王」でも再現された。
「みんなから『似てた!』と言われたけど、あの頃のお客は実物のダンプ松本を見たことがないんだよ。同じような格好で竹刀を振ってたら、勝手にダンプだと思い込んでくれる。観客の盲点を突いたダンプさんの奇策だったね」
──松永一族の娘がダンプの影武者でデビューすることに異議を唱えられることはなかったのか。