勝野洋が語る「昔の撮影現場は朝からビール珍しくなかった」
私が持たされたのは、うま味調味料をたっぷり入れたビール。これはボッタクリバーでも悪用される手口でテキメンに悪酔いします。ところが、向き合った先輩は先刻承知なワケです。
「まあ、おまえからグイッと飲れよ」と言われたら断れません。後のことを考えるとゾッとしましたが、逃げ道がないのが運動部。
目をつぶって一気飲みです。先輩はニヤリと笑い、「イケるなあ。もう一杯飲れよ」。
こうなるとヤケッパチ。何を何十杯飲まされたのかわからない。気がついたら洗面器の中に顔を突っ込んで寝てました。さらに足にきちゃって立てないんです。
そのまま二度寝して次に目が覚めたら翌日のお昼前。先輩も仲間も私だけを残してサッサと帰ってしまったんです。今だったら大問題になるんでしょうけど、当時は無理が通った時代でした。
俳優デビューは74年。「太陽にほえろ!」のテキサス刑事役に抜擢されたんです。
当時は現場でも酒はつきもので、朝からビールを飲むのは珍しくない。もちろん、昼飯もビール付きです。(石原)裕次郎さんが現場に来るやレミー・マルタンを開けるんですから、プロデューサーも監督も誰も注意する人はいませんよ。