吉本「搾取」の構造…闇営業に手を染める格安ギャラ配分
体を張って大ケガ続出
さらに近年は芸人が増え過ぎたことで競争が激化。
「『ひょうきん族』や『ボキャブラ天国』の頃、つまり90年代前半までは、芸人も少なかったんですよ。しかし今は、各事務所が運営する養成所から、毎年、数百人単位の卒業生が出てきます。その中からテレビで売れっ子になって食えるのは、1%もいないと思います」(前出のプロダクション関係者)
やっとテレビに出演できるようになっても、若手や中堅は体を張った“リアクション芸”を求められる機会も多い。しかし、それもなかなか大変なのだ。
「フォーリンラブ」のバービー(35)は24日、「世界の果てまでイッテQ!」(日本テレビ系)の収録中に左足アキレス腱を断裂したことが判明。同番組では、先月24日にも、インドでロケ中だった「ANZEN漫才」のみやぞん(34)が左足首を骨折する事故があったばかりである。お笑い評論家のラリー遠田氏はこう解説する。
「スタッフは安全性を確認するなど、十分に準備をしているはずですが、“撮れ高”が低いと、芸人に無言の圧力をかけてしまう。一方の芸人は、自分の見せ場なので必要以上に張り切ってしまう。ケガをしてもウケればOKと心のどこかで考えてしまうのが芸人です。その結果、どうしても事故が起きてしまう」
さらに、こうした体を張った芸を見せる場が減っていることも、芸人たちにムチャをさせる一因になっているという。
「若手芸人を精神的、肉体的に追い込み、笑いにつなげる企画は昔からありました。しかし今は“イジメ”と非難されてしまったりして、コンプライアンスに敏感な時代なので、そうした企画自体が減ってきている。やる機会が減っているので、芸人たちは余計やりすぎるという側面がある」(前出のラリー遠田氏)
売れっ子になって稼げるのはほんの一握り、そのための芸を見せる機会は減っている。生活のために闇営業をせざるを得ず、さらに巡ってきたチャンスで頑張りすぎてケガに見舞われる……まさに芸人残酷物語である。