著者のコラム一覧
溝口敦ノンフィクション作家、ジャーナリスト

1942年7月5日生まれ。早大政経卒 徳間書店、博報堂勤務を経て、フリージャーリストに。暴力団や闇の世界に深く食い込んだド迫力ルポには定評がある。『食肉の帝王』で第25回講談社ノンフィクション賞受賞、日本ジャーナリスト会議賞受賞。『暴力団』(2011年)がベストセラーに。

商業紙誌がスクープ写真をカネで買うのは本当に悪なのか

公開日: 更新日:

 ほとんどのメディアは商業紙誌である。金儲けのために出している。自分のところは金儲けで、その材料である写真はタダで入手しろというのか。要するに記者の狙いは、フライデーがもてはやされることへのイチャモンらしい。

「新聞でも識者に談話を求めれば、コメント料を払う。それと同じだろう。フライデーの写真と記事は芸人と反社の癒着を断ち切る上で社会に有益だ。カネを払っていると難癖をつけ、他社のスクープにケチをつける取材には協力できない」

 私はこう言って電話を切った。後で知ったことだが、フライデーは公式には写真提供者に対する謝礼は支払っていないと言っているようだ。写真提供者が反社の一員である場合、謝礼を払うと、彼らへの「利益提供」が疑われる可能性があるからだろう。

 しかし、私はそのような場合でも、写真を誌面に掲載、公表する社会的利益を考えれば、謝礼は払って可と考える。もうひとつ、これに関連して興味深いことを聞いた。

 というのは、写真誌が写真を掲載する。テレビ局はその話題を取り上げたい。そのとき、テレビ局は写真誌に写真の転載使用料を5万円程度支払うという。全国に取り上げたい放送局が20社あるなら、計100万円になる。NHKだけはなかなか払おうとしないようだが、この使用料がバカにならない数字になるというのだ。

 なるほど。自社で話題を発掘できず、活字メディアに頼っている電波メディアは大いに払うべきだろう。5万円は安すぎと思うが、払わないより数段マシである。

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