プロレスラー井上貴子さん ヘアヌード写真集6冊のお金で乳がんの母親に家をプレゼント

公開日: 更新日:

 90年代にアイドルレスラーとしてブレークし、ヘアヌード写真集が売れて話題になった井上貴子さん。新人当時は数千円のファイトマネーでド貧乏だったが、当時からの積立貯金と写真集のお金で、がんを患っていた母へ実家をプレゼントしたという。

 全女(全日本女子プロレス)に入った頃は寮住まいで食事も部屋もあるので、新人の頃は貧乏ではなかったんです。

 でも、翌年にはまた新人が入ってくるから寮を出なきゃいけない。一人で都心に部屋を借りて自立した頃が一番貧乏でした。

 試合で負けると、次の日は試合に出られないんですよ。いつも前座ですから新人の頃はファイトマネーが勝ったら3000円、負けたら2000円。2年目は勝ったら5000円、負けたら3000円に上がったのかな。負けると翌日レフェリーをやらされ、1000円だけもらえる。

 後輩にバット吉永、渡辺智子、伊藤薫と強い子たちが入ってきて私、負けちゃうんですよ。翌日に後輩の試合のレフェリーやって1000円だけもらうのが屈辱でした。お財布を開けると300円しかなかったり。

 巡業が多かったけど、私は出前も頼めなかった。でも、1個上の人気者の先輩がファンからもらった差し入れの残りをくれました。ケンタッキーフライドチキンとか。余りものでどうにかしのいでいました。

 転機は全女とフジテレビでアイドルレスラーを売り出す企画に抜擢された時ですね。CDデビューしたり、写真集をやらせてもらい、ちょっとずつ収入が増え、家賃の支払いに困らなくなりました。

 写真集は最初は水着でしたけど、3冊目からオールヌード。その頃、セミヌードをやっているレスラーはキューティー鈴木だけでしたけど、私は「オールヌードを」と決意。マネジャーから「ヌード写真は2~3枚」と言われていたので「そのくらいならいいか」と思ったし、その頃は宮沢りえさんのヘアヌードが出ていて、当たり前になっていましたしね。21歳くらいの頃かな。

 出版されたら結構ヌードページが多かった(笑)。でも、売れましたし、今思えば若い頃に脱いでおいてよかった。全女時代には6冊出しまして、途中はお金をもらっていないこともあったけど。「知名度を上げていただいた代」として全女には今も感謝しています(笑)。

色メガネで見る人も

 その頃は全女のレスラーにいろいろ言われましたよ。「みんな一生懸命戦っているのに、そんなこと(ヘアヌード)をやって、また女子プロレスが色メガネで見られる」とか。直接言われたことはなくて、通りすがりに嫌みを言われたり、だれかに「言っておいて」といわれたのが人づてで耳に入ったり。へこたれましたけど、先輩のブル(中野)さんやノリさん(立野記代)は味方してくれました。

 写真集のお金もあって実家を建てました。当時母が乳がんになり、団地の4階住まいだと病院通いや生活に大変だから、「早く家を買ってあげよう」と頭金を入れてローンを組みました。

■「積み立てしなさい」と言ってくれた事務の人に感謝してます

 でも、写真集のお金だけで買えたわけではないんです。元女子レスラーで会社の事務員の柳さんという方が、私の新人の頃から「積み立てしなさい」と言ってくれたからです。

 全女は給料日に会社で手渡しなのですが、柳さんに必ず呼び止められて10万円ちょっとしか入ってない給料袋から2万円を抜き取られて無理やりに貯金させられていたんです。私が「お金ないのに~」と言っても、「いいから貯金しなさい!」と。家賃払ったら1万~2万円しか残らなかったけど、貧乏な頃から貯めた積立金があったから家を建てる決意ができた。あとは写真集のお金で払って。

 柳さんは亡くなってしまいましたが、大感謝を伝えたかったです。何も恩返しできなかったのが悔やまれます。

 全女を辞めたあとはまだフリー選手が少なかったから重宝されて、貧乏には戻らなかった。写真集貯金もまだありましたし(笑)。その後LLPWに入団し、今もレスラーを続けています。できる限りリングに上がりたいので、これからもよろしくです!

(聞き手=松野大介)

井上貴子(いのうえ・たかこ) 1969年11月、茨城県生まれ。88年から全日本女子プロレスで活動。99年からフリー。2005年からLLPW入団(現LLPW-X)。ユーチューブチャンネル「貴子ちゃんちゅーぶ」配信中。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  2. 2

    中居正広の騒動拡大で木村拓哉ファンから聞こえるホンネ…「キムタクと他の4人、大きな差が付いたねぇ」などの声相次ぐ

  3. 3

    木村拓哉は《SMAPで一番まとも》中居正広の大炎上と年末年始特番での好印象で評価逆転

  4. 4

    中居謝罪も“アテンド疑惑”フジテレビに苦情殺到…「会見すべき」視聴者の声に同社の回答は?

  5. 5

    中居正広9000万円女性トラブル“上納疑惑”否定できず…視聴者を置き去りにするフジテレビの大罪

  1. 6

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  2. 7

    フジテレビは中居正広で“緊急事態”に…清野菜名“月9”初主演作はNHKのノンフィクション番組が「渡りに船」になりそう

  3. 8

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  4. 9

    若林志穂vs長渕剛の対立で最も目についたのは「意味不明」「わからない」という感想だった

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    相撲協会の逆鱗に触れた白鵬のメディア工作…イジメ黙認と隠蔽、変わらぬ傲慢ぶりの波紋と今後

  2. 2

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    《2025年に日本を出ます》…團十郎&占い師「突然ですが占ってもいいですか?」で"意味深トーク"の後味の悪さ

  5. 5

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  1. 6

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  2. 7

    結局《何をやってもキムタク》が功を奏した? 中居正広の騒動で最後に笑いそうな木村拓哉と工藤静香

  3. 8

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 9

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 10

    高校サッカーV前橋育英からJ入りゼロのなぜ? 英プレミアの三笘薫が優良モデルケース